虫との遭遇

つい先日の話なんですが。


電車の中で何の気なしに首筋を触ったら、何やら1cm四方くらいの木屑のような手触りが。


「うおっ!虫っぽいっ!」と直感的に感じ、ソレを掴んだ手を前方に持って来て振り払いました。


どうして一瞬触っただけで虫だと分かるんでしょう。僕はエスパーなんでしょうか。
いやいや、人間の恐るべき力でしょうね。


僕は虫が嫌いです。


何がってその脆さです。
自分がちょっと力を入れれば簡単に死んでしまうのが怖いのです。


「フフハハハ。人間というものは何と脆いのだッ!」


心の中では虫を掴んでしまったことでパニックの絶叫を上げていました。
ああ、潰してしまったかも。怖えぇ!見たくねぇ!
振り払ったソレは僕の鞄にくっついた感触がありました。
とっとと鞄から払ってしまいたい衝動に刈られましたが、大の大人が電車の中で騒げません。


平静を装いつつそっと鞄を見てみると・・・。


何ということでしょう!
そいつは生きています!潰れていません!足が欠けてるとかもありません!


この段階でパニックはほぼ治まりました。


「この子は強い。ちょっと掴んだくらいでは潰れない。」


鞄の上を歩き回るそいつを観察しました。


黒とオレンジ色の虫です。カメムシっぽい感じです。
あぁ、潰れなかったけど臭いんだろうな。。。やだなぁ。これだから虫は。


と、手の匂いを嗅いでみましたが、特に匂いはありません。


「合格」


もう、こいつに触ることすらそんなに抵抗がありません。


僕の腕を伝って上に行こうとするのを掴んで阻止することもできました。
そして再び鞄に戻すと、しばらくウロウロしたあと、こいつは落ち着ける場所を見つけたようです。


後ろ足をこすったり、前足で触覚を挟んでスーッと髪の毛を梳かすような仕草をしたりしています。
何だかかわいいかもとすら思えるようになりました。


ここまで来たら、あとは無事に外の世界に帰してやるだけです。


乗り換えの駅で降りて草木のあるところにおいてやろう。
こいつ、何だか飛べなそうだし。


そんなことを考えながら、鞄から僕の腕の方まで移動してきたソイツを見守りつつ駅の外まで行きました。


あ、そうだ。
せっかくだから、写真を撮って種別を調べてブログにでも書こう。
なんて思いついて、iPhoneで写真を撮ってみました。


実はまだ3Gを使っているのでピントなど合いません。


うーん、うまく撮れない。。。
などと何度か撮影を続けていたところで、


急にヤツは飛び立っていきました。


何だ、飛べたのか。


僕は背を向け、いつもの通勤経路へ戻ったのでした。


その後、ググってみましたが、なんという虫かはよく分かりませんでした。