最近のAppleに対するやや不穏な空気のなか、iPhoneの開発を始めて思ったこと
最近のAppleのFlash使わない宣言や電子書籍での掲載拒否とかで、Appleに対する不穏な空気を感じるこの頃ですが、最近iPhoneのアプリ開発を始めてみて(今頃とか言わない)思ったことがあるので書きます。
Appleの検閲は、ビジネスとしてよく考えられた素晴らしい仕組みなんだということです。
え、今更何言ってるの?って感じかもしれませんが、少なくとも私はiPhoneアプリの開発にあたってやっと気がつきました。
たぶん多くの人にとって、iPhoneアプリを開発するためにはかなりの障壁があります。
開発のためのMac、iPhoneの購入はもとより、
XCODE, iPhoneSDK, Objective-CなどApple特有の技術を学習するためのコストがあり、
さらには作ったアプリを公開するためにはAppleのデベロッパープログラム(有料)に登録し、
Appleの審査も通らなければなりません。
僕の場合、MacやiPhoneは欲しくて買ったところもあるのでコストとは思っていませんが、学習のための書籍代や年間10800円のデベロッパープログラムがすごくコストに感じ、個人的にはこの障壁が大きかったです。
僕はいろんな情報がタダで手に入る世界に慣れ過ぎていたのかもしれません。
ネットにある情報を集めて、Javascriptなどで何となく便利なスクリプトを作って「わーい。自分好みの情報を集めて一覧できるぜ!」みたいな気軽な感じに慣れていましたし、会社での業務においては欲しい情報は基本ネットにあります。
なのでMacを買った当初、ネットにある情報だけでアプリ開発できるだろうと思ってiPhoneアプリの開発を始めたのですが、2ヶ月経っても開発は進みませんでした。
※ 優れた記事はあるので、頑張れば十分学べる気もします。できないのは僕の努力不足だと思いますが、本業の片手間でやるのは難しかったです。
それでやっと効率的に学ぶためには書籍に頼るのが速いという普通のことに気がつき、2冊ほど厚い本を購入しました。
iPhoneアプリの開発はお金を払わなきゃいけないんだ、とちょっと嫌な気持ちになりました。
「これだからAppleはクローズドだって言われるんだよ」なんて思いました。
そして続いて出てきた考えは「お金をかけた分はアプリを売って稼げないだろうか」なんてことでした。
ここに至って、急にAppleの考え方が分かってきました。
自分が作ったアプリを売るなんて、そうは簡単にできないはずです。
私はまだアプリを作ってないので、実際にAppStoreに出せたとして売れるのかは分かりません。
ですが、自分でアプリを売ろうと思っても、広告も宣伝、口コミ、料金の徴収など、とても大変なことでそれを考えるだけで嫌になります。
しかし、AppStoreという信頼のあるショップがそれをやってくれるのですから、少なくとも販売についての不安が激減します。
Appleの検閲について文句を言う人もいますが、自分のショップに置くものを厳選するということは、ショップの信頼を保つためには当然の行為であり、ショップオーナーとしてはとても責任のある行為だと思います。
(ショップで厳選というとちょっと誤解も起こりそうですが、プログラムの品質を一定以上に保てるという程度です。)
そういう観点で見ると、ショップに出品するものの審査はとても重要なものであり、審査にかかるコストは大きいと想像できます。
商品の持ち込み前に障壁を用意することで、ある程度のふるいをかけておくのは理にかなっているように思います。
僕の会社でいったら、開発者が出荷できないような程度のプログラムを作ってきても、評価チームが一所懸命コストをかけてテストをする前の段階で
落とすための仕組みです。
また、障壁がありながらもそれを越えてくる人であれば、動機はそれぞれ違えども、まともな製品を作る可能性が高くなると考えられます。
つまりAppStoreは次の要素を満たす立派なビジネスモデルなのではないか。
・アプリの購入者には安心して使えるものを提供する
・開発者が収入を得やすい環境を提供する(これによって良い製品がどんどん生まれやすくなる)
・Appleはこの環境を維持することで報酬を得る
ということに気がついた訳ですが、たぶんiPhoneアプリの開発をしている人は最初から分かっていたようなことだと思います。
こんなことうだうだ書いてないで、早くアプリ作れよな、おれ。