天才
torneに録ってあった全盲のピアニスト辻井伸行さんの特集を見ました。
天才とはこういう人のことかもしれないと思いました。
僕は音楽のことは全然分かりません。
ピアノなんて上手い人が弾いたらほとんど区別がつかないのに、何でコンクールで賞を取るとか優劣が決まるんだろうと疑問に思ってます。
そんな僕が辻井さんをすごいと思ったのは、抜群の安定感、不安な感じのなさ。
この人には「難しい」という感覚がないんじゃないかと思う。
大舞台であっても、初めてのチャレンジであっても、見ている人に「失敗するんじゃないか」という不安感を与えない。
番組の方針も関係あるかもしれないけど、よくある「華やかなショーの裏側ではこんなに努力をしているんです」とか「お客様の前ではニコニコしてやっているけど、裏側ではこんなに厳しい顔でストイックに取り組んでます」というようなシーンはありません。
そういうのを否定する訳ではないけど、それは多分プロレベルどまり。
安定感は「プロ」という観点で必須のモノであるけれど、「天才」とはまた別のモノ。
練習のときから楽しんでいて、本番ではお客様を楽しませることで自分が満足する。
いつでも自分が楽しめて、それで周囲の人を感動させることができてしまう。
それが天才なんだなぁと。
指揮者の動きが見えないのに、初めて一緒に演奏するオーケストラで、人前で弾いたことがないチャイコフスキーを演奏するというチャレンジも、難なく見事に息がぴったりの演奏をしてしまう。
そんな鳥肌モノの演奏をした後に、自身が作曲した「コルトナの朝」という曲を演奏する。
これがとても綺麗な曲で、生きている素晴らしさを感じさせ、つい感動的な涙やため息を漏らしてしまう。
音楽なんてサッパリの僕にですらそんなことを思わせるこの人は、天才なんだなぁ。
こんなに素敵な曲なのに、CD化はされてないそうな。CDを即買いたいと思ったのは随分久しぶりなのに。